ごあいさつ
第64回全国国保地域医療学会の開催にあたって
第64回全国国保地域医療学会 学会長
岩手県地域医療研究会(国保診療施設協議会)会長
磯﨑 一太
(岩手県:洋野町国民健康保険種市病院長)
本年1月の能登半島地震で被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、最前線で治療と健康維持にあたる関係者の皆様に感謝申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復興をお祈り申し上げます。
さて、このたび第64回全国国保地域医療学会を盛岡市の「いわて県民情報交流センター(アイーナ)」で開催することになりました。
本学会はメインテーマを「地域包括医療・ケアで地域の『絆』をより強く ~地域医療学会発祥の地『イーハトーブ』から未来へ発信~」としました。
岩手県は北海道に次ぐ面積を有し、交通アクセスや医師不足など医療提供体制の確保に苦難の歴史があります。しかしながら、沢内村(現西和賀町)が豪雪、貧困、多病・多死という悪条件下の中で、全国で初めて乳児死亡ゼロを達成し、医療費の無料化を実現したほか、保健と医療の一体化を図るなど地域包括医療の魁となりました。また、昭和29年に開催した岩手県内直診医師懇談会を経て、初めて「地域医療」を冠した岩手県地域医療研究会が発足し、その活動が現在の地域医療学会の礎となりました。そして、「イーハトーブ」とは童話作家の宮沢賢治が理想郷を指す言葉として用い、岩手の地を指すと言われております。
現在の地域医療を取り巻く状況は少子高齢化や過疎化、医療従事者の減少、新興感染症への対応など益々厳しさを増しています。これからも国保直診が住民の身近な医療を担い続けるために、理想郷を築こうとした先人の足跡が残り、「地域医療」が産声を上げた地「イーハトーブ」で、地域包括医療・ケアに関わる関係者が語り合い、更なる飛躍につなげていきたいと思います。
学会会場のアイーナは、盛岡駅の西口から近く、東口からは市内観光のためのバスも数多く出ています。盛岡市はニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」において、ロンドンに次ぐ2番目に紹介され、内外から注目度が増しています。
岩手県は今や世界のスーパースター大谷翔平や菊池雄星、佐々木朗希、またスキージャンプの小林陵侑などトップアスリートが育つ風土であります。観光ではひそかに大谷翔平選手の聖地巡礼も流行していますが、岩手県には岩手山、北上川、リアス式海岸など豊かな自然、三陸鉄道、世界遺産の平泉などの多くの観光地があります。それに加えて盛岡三大麺、前沢牛、ウニなどの海産物、美味しい日本酒やワインといった岩手の食も満喫いただければと存じます。初日の夜開催する地域医療交流会では、全国の皆様と交流を深めていただくとともに、岩手の食とアトラクションを楽しんでいただければ幸いです。
第64回全国国保地域医療学会が皆様にとって充実した学会となることを祈念するとともに、皆様にお会いできることを楽しみにしております。